拍手お礼 コンルキ

実は隠しでありました。
たぶんここまで見てくださったのは数名だけだと思われます。

「寒そうですよ」
暖かい部屋の中で何を言う、と擦り寄ってきた体を撥ね返した。
「・・・でも、寒そうです」
まだ言うかと睨んでやるといつもは天を向いている眉毛が情けなく垂れ下がり心配そうな顔で私を見ていた。
「オレがあっためてあげられたらいいのに」
泣きそうな顔なのに涙は決して出る事の無いプラスチックの目で私を見上げる小さな体を振り払うことが出来なくなっていた。
「ネエさんに、こんなオレじゃ何にもしてやれない」
そう言って綿の詰まった丸い手をじっと悔しそうに見つめた。

暖かい、と感じた。
暖かいと感じて今まで寒かったことに初めて気付いた。

 

 

春とは何かを知った。